37歳で初めてバイクに乗ろうと思った理由

37歳になる年に初めてバイクを買った。
免許は20代に暇な時期があったので気まぐれで取っていたが、バイクは保管場所の問題や、1年のうち半年ほどしか乗れない土地柄のため購入をためらったのが原因で、ペーパーライダーのまま年数だけが過ぎっていった。
免許はあるんだから「そのうち」バイクに乗ろうと思い続けてはいたが、このまま乗らずに年を取っていくような予感もしていた。

バイクを購入したきっかけ

きっかけは伯父との会話だった。
正月に遊びに行った際、酒も入って伯父のトークが饒舌になったときに「死ぬときに自分の人生を思い返して、あれもやったこれもやった、少し心残りもあるけど概ね楽しい人生だったと振り返ってから死にたい」という言葉がちょっと響いてしまったのだ。
ちなみにこの伯父、なかなかの趣味人で、バイクや無線、釣りから小型船舶など、多くの趣味を持っている上、趣味のスペース(秘密基地)が欲しくて倉庫付きの中古物件まで買ってしまった。伯母からは「結婚するまでこんなにお金を使う人だと思わなかった」と愚痴をこぼされていたが、本人は楽しいようだ。

思えばバイクの免許を取ったのも映画『最高の人生の見つけ方』を見たのがきっかけだった。
「死ぬまでにしたい100の事」を紙に書き出すと、意外にもそのほとんどは明日にでも実現可能なことだったりする。少しの決断力があれば。
そう思ってバイクの免許を取りに行ったのだったが、伯父の話を聞いてその時の忘れていた記憶がよみがえったのだ。
自分が死ぬとき、あれもこれもやっておけばよかったと後悔するような我慢の人生を想像して少しぞっとした。
年を取ってからだと今より体力と判断力も鈍るだろうし、乗れる時間や行ける場所も少なくなる。
乗るのであれば、一年でもひと月でも早いほうがいい。

身体は覚えていた

免許を取ってから実際に自分のバイクを手にするまで、10年以上の間が空いてしまった。
バイクに乗った経験は教習所内しかない。
つまり公道は乗ったことが無い。
初めての公道デビューはバイク屋から自宅までの約60キロの道のりだ。
納車日前日の夜は緊張で寝つきが悪くなったりもしたが、こんな緊張を感じるのも久しぶりだ。

納車日に目の当たりにしたマイバイクXSR700は思っていたより大きく感じ、果たしてこんなの乗れるのか・・・と一瞬不安もよぎったが、思えば教習で乗っていたCB750よりも全然小さくて軽い。
そもそも大型車の中ではミドルクラスと呼ばれ、中型車と同じくらいの車格だ。
これで大きいと言っていては笑われそうなものだが、10年以上バイクから離れて感覚も鈍っていたのだろう。

免許取得からブランクがあることを正直にバイク屋さんに伝え(カッコつけてもしょうがない)、店の前で練習する。
いざまたがって半クラの位置を確認したりリヤブレーキを踏んだりしていると、遠い昔の教習所での感覚が戻ってきた。
公道に出るタイミングは、バイク屋さんが車の流れを見て誘導してくれた。ありがたい。カッコ悪くても安全が第一。
結局、バイクの操作を思い出しながら楽しんでいるうちに家まで着いてしまった。

バイクの操作をすんなり思い出せたのは、二つの理由があると思う。
一つ目は長年MT車を乗っていてクラッチ操作に慣れていたこと。車とバイクで操作する手足は違うものの、ギヤとクラッチの感覚は共通するものがある。それを体が覚えていた。
二つ目は、車での外出の際、「この道をバイクで走ったら気持ちいいだろうなぁ」とバイクの操作を思い出すことが良くあったからだ。これがちょうどイメージトレーニングになっていたのかもしれない。
未だに初心者レベルで、バイクを思うがままに操れるわけではないのだが、教習終了時の感覚はすぐに戻ってきた。

バイクを買った・・・これからは?

今回バイクを買ったが、この先何年乗るかわからない。
新車で買ったので3年後の車検の後は全く考えていないし、各種トラブルもあるかもしれない。
伯父ほど趣味に時間とお金を費やすほどのめりこむ性分でもないし、バイクに乗るのは暖かく晴れた週末だけ乗るという自分の中のルールを決めて、家族との時間のバランスをとるようにした。
危ない趣味ではあるのでヘルメットやプロテクターは予算をケチらずしっかりとしたものを身に着け、軽トラに抜かれるほどの安全運転を心がけている。

いつになるかわからないが、「もうバイクは卒業だな」という日が来ても、自分の人生がちょっと楽しくなったと思えば意味があることじゃないだろうか、と思いたい。
自分で会社を興した先輩が昔、「家も車も遊び場も手に入れたけど、何かの拍子にすべてを失うかもしれない。でも、それで遊べたからいいかって思ってる。」と言っていた。事業で少なくない額の借金を抱えた彼なりの達観と強がりだったのかもしれないが、それと同じ気持ちだ。

手放すときの事ばかり考えて好きなことを諦めてしまうのはナンセンスだ。
自分の場合はバイクだったが、いつかやってみたいという事があればエイヤとやってしまった方が面白い。これから先もこの気持ちを思い出していきたい。

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