【価格設定】4,980円+税分の情報を10分でお伝えします

レビュー

低価格戦略 VS 高価格戦略 理容室の場合

担当してもらっている理容師さん(Aさん)が独立してお店を出したいそうです。
経営を安定させるために介護施設等への出張ヘアカットにも興味があるようなのですが、話を聞いていると、ちょっと引っ掛かるポイントがありました。
それは、「他よりも低価格でやりたい」という点。
新規出店の理容室も少なくないので、値段を安くしたいとそのAさんは考えているようです。

私の感覚としては低価格設定に疑問を感じるところがあり、ちょうど読書欲もわいてきたところだったので、値付けをテーマにした本を数冊選んで読んでみました。

これらの本を読んでまとめました。
総額4,980円+消費税分の情報になります。

結論!とるべきは高価格帯戦略!

四冊の本を読んでみましたが、値付けに関しては同じような内容が多く見られました。
共通するのは「値上げには多くのメリットがある」ということ。
低価格でうまくいった例も載っていましたが、徹底的にコストを下げ、サービスを省き、客を限定したりといった、小さく商売をしている例がほとんどです。ビジネスとして縮小方向に走っては未来が無いように思います。やはり売り上げ増やさないと始まりません。

本そのままの内容で書いても面白くないので、感想も交えて要点を抜き出してみます。

  1. 値下げをすることで不信感が生まれる
  2. 安い店はなめられる
  3. 値下げをしても売り上げは増えない&利益が減る
  4. 値下げ戦略で勝てるのは業界の圧倒的トップだけ
  5. 値下げをすると後戻りできない
  6. 価格を上げて商品(サービス)の質を高めることで満足感が上がる
  7. 高価格=高品質という消費者側の思い込みがある
  8. 価格を上げるとクレームが減る
  9. 値上げをすることで余裕が生まれる
  10. 値段で勝負すると、値段でしか選ばれなくなる

順番に解説していきます。

値下げをすることで不信感が生まれる

買う側からすると値段が安いのは助かることですが、安すぎると不信感が生まれます。
「どうせ安かろう悪かろうだろうな」という心理が働くからです。
髪型にこだわりのある人や、散髪に特別な価値を求めている人は安い店は選ばないでしょう。
そのような上質のサービスを求めている層を逃すことになります。
継続して来店してくれる上客になるのは、そのような価値を求めている人たちなので、値段を低く設定するという事は、未来の上客を知らずのうちに逃してしまっているという事です。

安い店はなめられる

Aさんが勤めている理容室は低価格帯のお店なのですが、Aさんは独立も視野に入れていたため、技術的な研鑽も怠らず、価格以上のサービスを提供しています。実際にAさんに切ってもらいたいという指名が多く、私もそのうちの一人です。ただ、なかには「技術のない安床屋にしかたなく通っている」というお客さんもいるようで、「こんど都心の有名店に切りに行くんですよ~。やりたい髪型があって。」なんてAさんに話してくるお客さんもいるそうです。Aさんも要望に応える技術は持っていると思うのですが、要は値段が安いのでお客さんになめられているのですね。プライドを持って仕事をしている人ほど、このような悪気のない言葉に傷つきます。
値段を安くするということは、店側も低く見られるという事になります。

値下げをしても売り上げは増えない&利益が減る


本の中では、値下げをした結果、売り上げが増えなかった実例を紹介していました。値段が下がって売上が変わらない場合、人件費や時間などの経費が増えるという事なので、手元に残るお金は少なくなります。
つまり、頑張って忙しく働いたのにお金が残らない、ということです。
これではモチベーションは上がりませんし、経営的にも苦しくなります。
理容業は体力勝負な面もありますから、せっかく自分のお店をオープンしたのに、身体的にも経済的にもしんどい思いをして働かなくてはなりません。それでは夢がありませんね。

値下げ戦略で勝てるのは業界の圧倒的トップだけ

値下げ競争をした結果、生き残るのは業界で一番大きな一社だけです。
規模が大きいので仕入れや効率の面で有利ですし、業界ナンバーワンという知名度でお客さんも集まります。
頑張って価格を下げても、似たような価格ならお客さんは有名店の方に行ってしまうでしょう。
他社との相見積もりで当て馬にされ、時間と労力を無駄にしてしまったエピソードなども紹介されていました。
特に個人のお店だと、どんなに頑張っても大手にはかないません。理美容業は寡占化が進んでいない業界だそうですが、チェーン店と価格勝負をしても勝ち目はありません。
小さな店ほど、値段とは違うところに価値を置くべきです。

値下げをすると後戻りできない

一度値下げをしてしまうと、消費者にとって安い値段が当たり前になります。
値下げが原因で苦境を強いられた例としてマクドナルドとユニクロを挙げていました。その二社は値段以上のものを提供しているとは思いますが、世間的には値段の高いマックやユニクロの高い服には手を出さないでしょう。値段を下げてお客さんを取り込もうと思っても、安い値段でしか買わないお客さんが少し増えるだけです。これまでファンだったお客さんも、一度値段を下げてしまうと元の値段では買いたくないでしょう。意味のない値下げは避けるべきです。
値下げに理由が必要なのと同じく、値上げにも理由が必要です。多少の反発や客離れも覚悟しなくてはいいけません。ただ、しっかりと説明すれば消費者も値上げに納得してくれるでしょう。値上げをしても客が離れない価値あるサービスが前提になります。

価格を上げて商品(サービス)の質を高めることで満足感が上がる

価格で勝負できないのなら、サービスの質を高める必要があります。
「他より高くてもそのお店に行きたい」「行く理由がある」とお客さんに思ってもらうことが重要です。
業態自体は髪をカットするというシンプルなものなので、細かい工夫で差別化しなくてないけません。私がパッと思いつくところだと、

  • カウンセリングを丁寧に行い仕上がりに満足してもらう(基礎技術の向上)
  • 次回来店時期にお知らせを送る(アフターケア)
  • シャンプー・ワックスなどのサンプルを配り、物販につなげる(収入の多角化)
  • 店主のキャラクターや趣味などを前面に押し出し、共感を得る(熱狂的なファンを増やす)
  • インターネットを活用したスタイルブックの発信や予約システムの導入(営業の強化)

といったところでしょうか。
特に理美容業はサービスがビジュアルとしてわかりやすいので、インスタなどの画像を中心としたSNSとは相性がいいように思います。このお店ではこういうスタイリングをしてくれるんだな、というのが初めての人にもわかりやすく伝わるからです。

高価格=高品質という消費者側の思い込みがある

育毛剤や栄養ドリンクなどは値段が高い方が効き目があるような気がします。
まったく売れなかった露店の宝石商が、値段を十倍にしたとたんに完売した話もあります。
「安かろう悪かろう」の逆で、値段が高いものは質もいいだろうという思い込みを逆手にとって、値段を高く設定することで「自分は上質なサービスを受けた」と思ってもらえるのです。
サービスの質が伴わないとお客さんをがっかりさせてしまうので注意が必要ですが、上記の工夫などを組み合わせればそれほど経費をかけずにブランド化することができるでしょう。
特に年齢層が上がるほど、高価格帯のお店に通っていることがステータスに感じる人は多いので、クチコミも生まれやすくなります。高いお店で良いサービスを受けているのをつい自慢したくなるのは人の性でしょう。
オシャレに目覚めた学生たちがちょっと背伸びをしていいお店に髪を切りに行くというイベントを楽しみ、SNSなどで広まっていく可能性もあります。

価格を上げるとクレームが減る

クレームが多いのは客単価が低い業種やお店に目立つそうです。
人には、自分の買ったものや受けたサービスに、支払った金額以上の価値を見出したいという心理があります。要は得をしたと感じたいわけです。
値段が安かったりありふれた商品だと、そうそうお得感は得られません。ですから、クレーマーは理不尽なクレームを入れることで店側から何かプラスアルファを引き出すことで無理矢理にも得をしたいのです。
クレームを入れる側にもいろいろな理由があるでしょうが、受ける店側にとっては時間的にも精神的にも大きな負担になります。
値段を上げることで、自然とそのような人が客層から除外されクレームが減ります。
店側にとっても、高い金額を払うお客様を失望させないように仕事にも熱が入るでしょう。安い店にクレームが多いのは、店側も無意識で「ウチは安いんだからこの程度の仕事でいいだろう」という手抜きの入る余地が生まれるからです。

値上げをすることで余裕が生まれる

値段を上げるという事は、同じ仕事をしても儲けが増えるという事です。
同じ金額を稼ぐなら、仕事量は少ない方がいいです。
貧乏暇なし状態で、仕事はしてるのに手元にお金が残らないと、精神的な余裕もなくなります。
貧すれば鈍する、という言葉がありますが、店内の設備を新しく買い替えたり、勉強会に出て情報を仕入れたり、旅行や芸術鑑賞などで感性を磨いたり・・・なんてことも出来なくなります。余裕があれば趣味などにお金と時間を使ったり様々な経験を増やすことで、お客さんとの会話力も上がるでしょう。余剰資金があれば新規事業などのアイデアも湧きやすくなります。
カットしてもらう側からしても、生き生きと楽しく仕事をしている人に切ってもらいたいものです。

値段で勝負すると、値段でしか選ばれなくなる

私はAさんにカットしてもらうことが目的なので、Aさんが休みの時は日を改めます。
ただ、Aさんの店が混んでいるのを見るや否や同価格帯のライバル店に行ってしまうお客さんもいるそうですし、Aさんのお店の会計時にライバル店のポイントカードを出すお客さんもいるそうです。
そのような人たちがお店を選ぶ基準は「値段だけ」です。「安いからここに来ている」人たちはAさんの店より安い店があれば平気で他店に行くでしょう。
安い値段で集まってきた客は、平気で他店に浮気します。
Aさんはそれほど気にしていないようですが、度量の狭い私は話を聞いて嫌な気持になりました。Aさんの技術や接客が目的で通っている私としては、Aさんの価値を感じられる本当のファンを増やしていくような商売をしてもらいたいと思います。

【まとめ】立ちはだかる業界内外の常識

巷には1000円カットなど安く散髪してくれるお店が当たり前になっていますから、世間的には髪を切るのにあまりお金をかけたくないという人が多いかもしれません。
Aさんもあまり高い値段だとお客さんが来てくれないのでは?と心配していました。というのも、2000円の理容店も5000円の理容店も(多少の技術の差はあれど)やることはほとんど変わらないからです。(Aさん談) 値段を高くしても、自分が提供している価値と釣り合わない、という思いがあるのでしょう。
立地やブランディングで高価格にしているお店もありますが、Aさんの目指しているお店は気軽に利用できる地域密着型のお店。自然と低価格での値段設定が当たり前と考えているようです。

確かに、ただ高値をつければいいというものでもなく、その商品(サーピス)の適正価格というものはあります。パスタには1500円出すけど、ラーメンに1000円は高い・・・という不思議な金銭感覚は私にもあります。ラーメンの方が仕込みの手間や材料費などのコストが大きいと感じるのに、です。

ただ、これからもAさんに髪を切ってもらいたい私としては、安い料金で独立して大変な思いをするより、Aさんに商売を軌道に乗せて長く仕事を続けてもらいたいのです。そのためには散髪料金が上がっても、喜んで応援したいと思っています。

ちなみに私が読んだ本な話をしたら興味がわいたそうなので、今回購入した4冊はすべてAさんに差し上げました。安売りにとらわれず、ちょうどよいバランスの価格設定をしてもらいたいです。

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