雪を早く溶かす(現実的な)方法

家のこと

雪かきで一番困るのが、雪を寄せておく場所です。

豪雪地帯の流雪溝(雪を捨てるための水が流れた側溝)などが無ければ、雪かきをするたびに雪が山になって溜まっていきます。

雪の多く振る地域では自治体が雪を捨てる場所を用意したりしていますが、結局そこまでトラックで運んだりと相当な手間がかかります。

「もう捨てる場所が無い」とお困りの方のために、雪を早く溶かす現実的な方法をお伝えします。

現実的な、という表現をしたのは、ネットなどで紹介されている方法には多くのデメリットがあり、実践すると大変なことになるからです。

まずは、なぜネットで紹介されている各方法がダメなのかをご説明します。

やってはいけない 雪を解かす方法

ネットでよく見かけるのが、「〇〇を撒く」という方法です。

確かに雪は早く解けますが、ばらまいた〇〇が残存することを忘れてはいけません。

また、日の当たらない場所ではそれほど効果がありません。

こんな方法はNG

塩をまく

塩には水が凍りにくくする効果があります。

玄関先や駐車場など、足元が滑りやすい場所にまくのが効果的です。

しかし、積もった雪や寄せて山になった雪を解かす効果はあまり期待できません。

むしろ塩をまくことによる「塩害」の危険を考えなくてはいけません。

潮風が吹く沿岸部に建っている建物が錆びによって早く朽ちたり、津波被害のあった土地で海水の塩分のせいで作物が育たない、といった、塩による土壌汚染は深刻です。

雪を解かそうとして気軽に敷地内へ塩をまいてしまうと、建物の金属部分への影響もありますし、車やエアコンの室外機などの機械にも影響を及ぼします。

花壇で植物を植えているおうちも控えた方が良いでしょう。

雨などで塩が薄まるまで何年もかかります。

道路にまかれる融雪剤もいわば塩です。

ホームセンターにも売られていますが、まく場所をよく考えて使うようにしましょう。

「食物由来の除草剤」というものも見かけますが、中身はただの塩だったりするので使用には注意です。

炭をまく

こちらも良く紹介されている方法です。

炭の黒色が太陽光の熱を吸収して雪が早く解けるというものです。

確かに効果はあります。

炭をまけばどんどん雪が解けていくのが早くなります。

ただこれにも難点があって、①炭を用意するのに手間がかかる、②雪が解けた後に炭が残る、といったデメリットがあります。

このご時世、炭を常備しておるお宅がどれほどあるでしょうか。

わざわざ買って用意しなくてはいけません。

しかもバーベキュー用の炭や練炭などの固まりをそのまま雪の上に乗せても意味がありません。

炭を粉状に砕かなくてはいけないのです。

炭を砕く作業をすれば炭の粉が舞いますから、マスクをしても鼻の穴が真っ黒になります。

そこまでの作業をして炭の粉を用意するのは大変なことです。

もしご自宅に薪ストーブや囲炉裏などがあり、日常的に灰が手に入るのであればそちらを使った方がよほど手間はかからないでしょう。

炭よりも太陽光の吸収率は劣りますが、雪を溶かしてくれます。

しかし、今度は炭(灰)をまいた後の始末が大変です。

炭は自然に分解されません。

遺跡などで古代の文書が見つかって、それを我々が解読できるのは、炭で書かれているからです。

炭素原子は安定しているので、1000年経とうが残ります。

もちろん一冬越して雪がすっかり解けた後もばらまいた炭が残るわけです。

撒く場所が畑などであれば見た目は気になりませんし、むしろ炭や灰をまくことは土壌の改良になるかもしれませんが、これが舗装された駐車場だったりタイル面だとその後の掃除が大変になります。

同様に「土をまく」などがありますが、これも後始末の面からおすすめしません。

ポリ袋をかぶせる

黒色のポリ袋を雪にかぶせることで、太陽光の吸収を高めて雪を解かす方法です。

とても効果的で炭や砂と違い解けた後の処理にそれほど手間がかかりません。

ただ、ポリ袋が風で飛ばされないようにしっかりと対策を取らなくてはいけません。

雪国では無風で日が出るという日の方が少ないですから、ポリ袋をかぶせた上にロープを張って重りで固定するなどの対策はしっかりとしましょう。

飛ばされた先でゴミになるのはもちろん避けなければいけませんし、もし道路に飛ばされれば黒いポリ袋が車の視界を遮り事故につながる恐れもあります。

飛ばされないようにしっかりと対策をしたつもりでも、突風がふけば万全ではないかもしれません。

雪を解かす効果はありますが、他人に迷惑をかける可能性があるという点で私はおすすめしません。(一度飛ばされて数百メートル追いかけて回収した経験があるからです)

お湯をまく

一番やってはいけない対処です。

お湯は一瞬で冷めますし、溶けた雪が水になってさらに凍ります。スケートリンクの出来上がりです。

絶対に気温が氷点下にならないならお湯をまいてもいいですが、それなら黙っていても雪は解けますね。

雪に慣れない地域の方がやってしまいがちなミスです。

朝、仕事に行くときに凍って霜が降りた車のフロントガラスを溶かそうと熱湯をかける人もいますが、窓ガラスが温度差で割れてしまうこともあるので気をつけましょう。

雪を解かす現実的な方法

極力費用をかけない、環境に影響を与えない、後始末が必要ない、という点でおすすめの方法です。

気温がプラスになる時間帯にこれをしていると雪の解ける速さは段違いです。

基本的な考え方

雪の表面積を増やす

ウィスキーなどのお酒を飲む際、丸い氷を使うと氷が溶けにくく、長い時間味が薄まりにくくなります。

反対に、砕いた細かい氷を使うと氷の溶けるスピードは速まります。

要は表面積を増やせば雪は早く解けるのです。

私がよく行うのは、スコップで切れ目を入れる方法です。

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このような先のとがったスコップが作業しやすくておすすめです。

これを雪の山に何度もザクザク刺して跡をつけるだけです。

これだけで雪の表面積が増え、溶けやすくなります。

固い棒などで刺しても良いですが、スコップの方が効率がいいですね。

プラスチック製のスコップだと歯が立たない場合もあるので、丈夫な鉄製の物がおすすめです。

この作業をしておけば、日の差す時間、雨の降る時間、風が強い時間には相乗効果でどんどん雪が溶けていきます。

それほど労力を必要としないので、子供に遊びがてらザクザクさせてもいいですね。

流れを作る

溶けた雪は当然水となって流れていきますが、この流れていく水も雪を溶かすのに役に立ちます。

溶けた水が行き場なく溜まってしまうと朝方の冷え込みで再度凍ってしまい、溶けにくい氷になってしまいます。

雪山が溶けて水が流れやすいように、溝などを掘って水の通り道を作ってあげましょう。

スコップの切れ目でスジを作ってあげても良いです。

流れる水が触れた雪はさらに溶けていくので、この「流れ」が生まれると雪が溶けるのはますます早くなります。

地面が雪に覆われているなら、排水溝までミゾを掘って水の通り道を作るといいでしょう。

熱伝導率の高いものを利用する

表面積を増やすのに似ていますが、空気中の熱や太陽の熱を雪に伝えやすくするために、熱伝導率の高い物を雪に触れさせておくのが効果的です。

簡単なところだと雪かきで使った鉄スコップを雪山に刺しておくだけでその部分の雪は早く解けます。

鉄パイプを何本も刺しておいても良いですね。

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もしこのような鉄の波状板があれば理想的です。雪山にザクッと立てて空気中の熱を雪に伝えるラジエーターとして使いましょう。

「鉄パイプとか鉄の波板なんて家にないよ!」という方は改めて買う必要はありません。

敷地内にコンクリートやアスファルトなどの舗装面があれば、そこに雪をばらまいておくとあっという間に溶けます。

舗装面は土の地面よりも熱を伝えやすいからです。

同様に、雪かきの際は、舗装面が一部見えるようにしておくとそこから雪が溶けていきます。

逆に車で踏み固めるなどして舗装面の上に圧雪された層があると雪はなかなか溶けません。

舗装面は早く雪を溶かしてくれますが、くれぐれも道路に雪をまいてはいけません。危険です。

これらの方法が有効なのは、気温がプラスであること。

氷点下を下回ったままでは何をしても氷は溶けませんし、溶けてすぐ凍ってしまいます。

雪かきで大きく溜まってしまった雪山を早く溶かすのにはとても有効なので、日の差す時間、雨の降る時間、風が強い時間をみつけて試してみてください。

効率的な雪かき道具

雪かきの手間を少しでも減らすために、雪かき道具も少数精鋭のものを選ぶと良いです。

様々な雪質に対応する「これさえ用意しておけば間違いない」という雪かき道具厳選したので、こちらの記事もご覧ください。